キュレーションサイト問題と、Web事業者のEvil化問題

WELQ騒動はもう皆さんご存知ですね。

DeNA守安氏「認識が甘かった」——WELQに端を発したキュレーションメディアの大騒動 | TechCrunch Japan

簡単に言うと、健康に関する内容を真偽不明、またはコピペによって量産することにより、健康に対して有害である可能性がある、または薬事法違反の可能性があるため、炎上し閉鎖に追い込まれたというものです。

以前から問題になっているキュレーションメディア問題

最近、Googleで検索すると、アフィリエイト目的のブログが多数引っかかるようになっています。

これは、Googleの方針である、「手作業がかかっていて更新頻度の高いものは上位に表示されやすい」という特性を狙ったものです。何故そのような方針になっているかというと、自動生成されるようなもの一般的に質が低く、また簡単に量産できるため、それが上位に入ってしまうとゴミだらけになってしまうからというものです。

人間の手が加わっているものは確かに一般的に品質が高いものが「多かった」のですが、クラウドソーシングやNAVERまとめのようなものの出現によって「人間の費用が極端に安くなってしまった」ため、自動生成並の金額で人間の手が加わったコンテンツを量産できるようになり、それが検索上位に来ることによる商売が可能になってしまったという話です。

ただ単に人間の手が加わって更新頻度の高いコンテンツでも、個人の日記のようなものは上位に来ることは少ないですが、時事性が高く共有されやすいものは、多くの人に見られる可能性が高く上位に来る可能性が高いです。特定のキーワードに絞って量産する(例えば、今年の○○の日はいつ?のような、ほぼ中身はないが必要に応じて検索されるようなもの)パターンもあります。

検索エンジンはどうあるべきか

検索エンジンには、そのコンテンツが「良いものか悪いものか」という判断をすることはできません。そもそも「良いものか」が人によって変わる場合も多く、この問題はそう簡単には解決できないのではと思います。ものすごいアルゴリズムによって、順位は改善される可能性もあります。

現在でも、Googleは有害なコンテンツを通報する仕組みはありますが、全てを網羅するのは難しいでしょう。

Web事業のEvil化

「Don't Be Evil(邪悪になるな)」とは、Google社のスローガンとして有名です。現在は「Do the Right Thing(正しいことをやれ)」となっているらしく、「Don't Be Evil」をやめたわけではなく、Evilの定義が難しいので、それよりは正しいと思うことをやれ、ということではないかと思っています。

さて、その考えるのが難しい「Evil」とは何かと考えた時、社会にとって有害であるものがその1つと考えられるでしょう。有害とは何かというのもありますが、例えばWELQのような「健康というセンシティブな問題において、真偽が怪しい情報を真として掲載する」のは、Evilと見て良いでしょう。

今回は健康という、生命活動に影響を与える可能性が高く、薬事法にも問題がある可能性のあるものだったので、簡単に炎上し閉鎖という方針になりましたが、もっとライトなコンテンツ、例えば暮らしの知恵のような、その通りにやっても無駄になる程度で済む話であれば、問題にするのは難しいでしょう。しかし、現在はそのようなコンテンツが乱立しています。

また、テキストコンテンツ以外でも、例えばメルカリのような「堂々とRMTのような脱法コンテンツの販売を許可するサービス」のようなものはEvilと言えるでしょう。ガチャコンテンツもそれに近いものではありますが、最近このような、訴えられないぎりぎりを意図的に狙った商売というものが増えているように思えます。

明確に違法のものはともかく、特に違法性がなく、「それを行うことによって何らかの損失があるかもしれないが、軽微なものでしかない」ものや「内容が非常に薄く、そもそも何の意味も成さないもの」のようなものを取り締まるのは難しいでしょう。

Webの仕組み自体を見直す時期に来ているのかもしれません。

コピペと対策

コピペコンテンツに関しては、YouTubeのコンテンツIDのような仕組み(同種のコンテンツで広告収入が入ると、原作者の収入となる)が、Web全体で用意されるのが望ましいでしょう。

とはいえ、Web全体でそれが採用されるのは難しいとは思います。転載先に対して金額を請求するという方法もあるようですが、相手が大企業の場合は泣き寝入りするパターンも少なくないようです。

我々は何をすべきか

今のところこれに対抗できる手段は「我々の知識を増やし、中身の薄いコンテンツを閲覧しない・シェアしないようにする」ということしかできません。閲覧数やシェア数は、それを正しいコンテンツだと証明する証拠となってしまいます。

今一度、自分が正しいコンテンツを閲覧しているか、シェアしているかを確認してみましょう。